時を超えて次世代へ繋ぐ
地域に育まれる「肝高き心」
うるま市には、古来より「肝高き心」で、歴史・文化を育み、守り、暮らしてきた人々がいます。
時代が移り変わる中で、私たち大人はその大切な精神を忘れてしまいがちです。
そんななか、「肝高き心」を引き継いだ子どもたちがうるま市には誇るべきものがたくさんあることを教えてくれました。
それが現代版組踊「肝高の阿麻和利(きむたかのあまわり)」です。
※肝高(きむたか)=「心豊か」、「気高い」などの意。沖縄最古の歌謡集「おもろそうし」で見られる古語で、高い生活文化を称えた勝連および勝連城跡の美称とされる。
地域を変えた奇跡の舞台“現代版組踊「肝高の阿麻和利」”とは
2000年の初演以来、沖縄県内外、海外での公演を重ね、公演数300回以上、総入場者数20万人超を記録。子どもたちに情熱と誇りを与え、地域を変えた“奇跡の舞台”。
それが、現代版組踊「肝高の阿麻和利(きむたかのあまわり)」です。
地元、沖縄うるま地域の中高生のみで演じられる沖縄版ミュージカルとして知られ、沖縄に古くから伝わる伝統芸能「組踊」をベースに、現代音楽とダンスを取り入れ、地域の歴史上の英雄・勝連城10代目城主「阿麻和利(あまわり)」の半生を描きます。
舞台のあらすじはこちら。
うるま市公式アンバサダーとしての活躍
感動産業特区公式ロゴマーク
うるま市は、2023年4月に全国初となる「感動産業特区」宣言を行い、地域が一つになり、受け継がれてきた歴史・文化、伝統芸能、魅力あふれる観光・物産など、あらゆる“感動資源”を活かし、「感動」を「産業」とし、地域を元気にするまちづくりを推進しています。
その感動産業特区宣言に合わせ、市では「感動産業特区アンバサダー」を新設。
その第一号として、現代版組踊「肝高の阿麻和利」が市公式アンバサダーへ認定されました。
感動産業特区アンバサダーは、「感動」を切り口にうるま市の魅力を広くPRすることが期待できる個人、団体に対し、市長が認定するもので、沖縄におけるうるま市の新たなブランディングを確立し、「感動」をキーワードにうるまを盛り上げるための役割を担います。
感動産業特区アンバサダー公式動画
多くの受賞歴、豊富な活動実績
【過去の受賞歴】
- ふるさとづくり賞 内閣官房長官賞(2005年11月)
- 沖縄振興功績賞(2007年5月)
- 平成19年度地域づくり総務大臣表彰(2008年3月)
- 第52回沖縄タイムス特別賞(2008年10月)
- 第10回朝日のびのび教育賞(2008年10月)
- 日本ユネスコ協会連盟第一回プロジェクト未来遺産登録(2009年12月)
- サントリー地域文化賞(2010年8月)
- ティファニー財団賞 伝統文化大賞(2011年)
- 第41回琉球新報活動賞(2019年2月)
【公演活動の実績(主な活動等を抜粋)】
- 1999年12月:初稽古
- 2000年3月:初公演(勝連城跡)
- 2002年8月:初の自主公演で約2,500人を動員
- 2003年8月:初の県外公演(関東5ヶ所)を実施
- 2007年2月:通算100回公演達成
- 2008年11月:初の海外公演となるハワイ公演を実施
- 2010年10月:勝連城跡世界遺産登録10周年記念 かっちん城(勝連城跡)公演を実施
- 2013年7月:現代版組踊推進協議会設立
- 2016年10月:第6回世界のウチナーンチュ大会連携事業「伝統組踊×現代版組踊」の共演が実現
- 2017年11月:通算300回公演達成
- 2019年8月:東京国立劇場で公演を実施
- 2022年5月:東京国立劇場で沖縄芸能フェスティバル2022へ参加
- 2023年8月:東京文京区でうるま市を挙げたプロモーション事業として公演を実施(文京シビックホール/うるま市シティプロモーション事業)
誕生の背景~なぜ、奇跡の舞台と言われるのか?~
子どもの居場所づくりがきっかけ
現代版組踊「肝高の阿麻和利」は、1999年、当時の勝連町(合併後うるま市)教育委員会が、子ども達の居場所づくり、ふるさと再発見・子どもと大人が参画する地域おこしを目的に企画したのがはじまりです。
初稽古は1999年12月、その時参加した子ども達はわずか7名。本番までは残り3ヶ月しかありませんでした。当初は参加する子ども集めからスタートし、教育委員会や演出家の平田大一さんらの地道な努力の結果、翌年2000年3月の初演には、約150名もの中学生が参加しました。
「子どもたちの真剣な姿」が大人たちを変えていく
当時、勝連地域の子どもたちはシャイな子が多く、人前で舞台を披露することはチャレンジングな試みでした。本番に向けて稽古していくなか、次第に子ども達は変わっていきました。
初公演の2日間、観劇者数は4,200名に及び、子ども達が真剣に取り組む姿、それを観た観客は心を打たれ、感動して涙を流す人も・・・。
もともと1回限りの予定であった「肝高の阿麻和利」。舞台を成功させた子どもたちが、活動継続を願い、当時の勝連町教育委員会に働きかけ、第2回公演の開催が決定。
子ども達の熱い想いに応えるため、継続的な活動ができるよう父母が中心となり、「父母の会」が設立されました。その後、父母の枠を超え子ども達の居場所づくりと青少年健全育成、地域の歴史文化の継承等を目的とした「あまわり浪漫の会」へ支援の輪が引き継がれています。
先輩から後輩へ受け継がれる「肝高の精神」
子どもたちが主体的なリーダーとして成長
「肝高の阿麻和利」には、高校生を中心とした約30人で構成される「きむたかキッズリーダーズ」の存在があります。リーダーズの役目は、稽古において演出家や関係する大人と一緒になり、子ども達の指導にあたることです。年の差が離れていない身近なリーダーをつくることで、子ども達と大人達とのコーディネートを担う大事な役割を果たします。
また、リーダーズは他地域の修学旅行生との交流においてワークショップを企画するなどの活動も行い、責任感やコミュニケーション力を自然と身につけます。
この「肝高の精神」は23年間(2024年現在)にもわたり、舞台づくりを通して、先輩から後輩へ、次の世代へと今もなお引き継がれています。
地域に眠る芸能・文化の掘り起こしにも貢献
現代版組踊「肝高の阿麻和利」の取り組みは、地域に眠っていた「平安名のテンテンブイブイ」や「浜の京太郎(ちょんだらー)」といった地域特有の民俗芸能文化を発掘し、歴史を再認識させ、地域振興を担うまでになっています。
また、県内外からファンの多い「平敷屋エイサー」も舞台に取り入れることで、新たな文化価値創出にも繋がっています。
平安名のテンテンブイブイ
明治初期から勝連の平安名地域に伝わる民俗芸能で、容姿や動きなど独特の雰囲気を漂わせている。この舞台で30年ぶりの復活を遂げる。
平敷屋エイサー
旧盆の時期に、現世に戻る祖先を供養するために奉げる念仏踊りエイサー。平敷屋エイサーは200年以上と琉球最古の歴史があり、パーランクーという小さな太鼓をたたきながら、独特な衣装と動き、見事な隊列が特徴的で、県内外に多くのファンがいるほど。
浜の京太郎(ちょんだらー)
「京都から来た太郎」の名の通り、明治時代に京都から伝えられたといわれる踊り。亥年に「ガン(棺の一種)」の制作、またその祭りに行われる。
卒業後はそれぞれの夢へ
卒業後の子ども達は、現代版組踊「肝高の阿麻和利」を通して学んだことを活かし、それぞれの夢に向かいチャレンジしています。なかには、タレント業や歌手、舞台美術などプロとして活躍し、うるま市の観光PRや地域振興に携わっている卒業生もいます。
タレントとして活躍中の卒業生
前堂ニイナ:歌手/タレント
沖縄県うるま市勝連出身、2007年「肝高の阿麻和利」女性アンサンブル卒業生。
歌手、モデル、タレントとして沖縄県内外で幅広く活躍中。
うるま市のYouTube番組「Go!Go!URUMA Lovers」などに出演し、観光PR、音楽活動で市に貢献。県内のみならず、海外でも歌手として活躍中。
- <主な実績>
- OTVらいおんのハイサイ新婚さんリポーター/TVCMオリオンプレミアム/YouTubeチャンネルNanaironote(紅蓮華うちなーぐちVer)46万回再生。他多数。
宝眞榮日也美(TEAM SPOT JUMBLE所属):役者/タレント
沖縄県うるま市石川出身、2010年「肝高の阿麻和利」役者卒業生。
うるま市のYouTube番組「Go!Go!URUMA Lovers」やTikTokドラマに出演し、観光PRやイベントのMCで市に貢献。沖縄県内のテレビ番組やドラマ、映画など役者として活躍中。
- <主な実績>
- OTVワッターまちやーぐゎ/(RBCiラジオ)金曜ラジオカーリポート担当/PV MONGOL800『STAND BY ME』/映画「神人(カミンチュ)Legend of ZAN」アスカ役。他多数。
現役メンバーへのインタビュー
東京公演を成功させた肝高の阿麻和利メンバーにインタビューを行いました。
現代版組踊「肝高の阿麻和利」バックステージツアーのご紹介
バックスステージツアーは「肝高の阿麻和利」の稽古場で、出演者であるうるま市の中高生と交流しながら体験する感動交流プログラムです。
中高生との交流体験を通した心のふれあい、楽しみながら沖縄の歴史・文化を学ぶことができます。修学旅行のプログラムや社員研修としてご利用ください。プログラムの詳細はこちらから。
卒業生のタレント(前堂ニイナと宝眞榮日也美)が共演した「肝高の阿麻和利」バックステージツアー紹介動画もご覧ください。