現代版組踊「肝高の阿麻和利」キャストインタビュー#01

中高生が舞台に全力で挑む空気感を、見ている人に伝えたい

~女性アンサンブル 高校2年生の大城 凛夏(おおしろ りんか)さん~

現代版組踊「肝高の阿麻和利」は、うるま市の中高生たちが演じる歴史劇(沖縄版ミュージカル)で、伝統と革新が融合した舞台作品です。沖縄の歴史と文化が息づくこの舞台は、10代の若者たちの情熱的なパフォーマンスによって生き生きと表現され、地域の歴史と文化の魅力を、沖縄県外・国外にまで広く伝える取組へと進化を続けています。

今回お話を伺ったのは、高校2年生の大城凛夏(りんか)さん。

大城さんは、この舞台に女性アンサンブルとして出演し、その才能を発揮しています。大城さんが、なぜこの活動に情熱を注いでいるのかその理由と、生まれ故郷である、うるま市への思いについてもお聞きしました。

「肝高の阿麻和利」メンバーになって感じたこと、伝えたいこと

-「肝高の阿麻和利」に参加したきっかけを教えてください

知り合いが女性アンサンブルに参加していたこともあって、小学生の頃に初めて「肝高の阿麻和利」を観劇しました。そのときは内容を理解できなかったんですけど、舞台の迫力と、キャストが全力で演じている空気感が伝わってきて、「凄い!」と思いました。それで、「自分もそこに混ざりたい」と思ったのがきっかけです。参加するときには、役者かアンサンブルか迷ったのですが、観劇するきっかけになった知り合いの先輩もいたので、女性アンサンブルに入りました。

-女性アンサンブルの稽古で、楽しい瞬間はどんなときですか?

本番の踊りに出られる人数が限られているので、女性アンサンブルにはオーディションがあります。新しい曲を習うときも、先輩が見てOKをもらわないとその曲も踊れないんです。頑張って好きな場面の曲のオーディションに受かったときは、やっぱり嬉しくて、もっと上に行きたいなって自分の励みにもなりますし、一番楽しいなって思う瞬間ですね。

-参加したことで、自分の中で変化したことはありますか?

「肝高の阿麻和利」の稽古では、大人が指導するのではなく、教えるのも中高生なんです。先輩が後輩に教えるのが伝統なのですが、自分が先輩になって教える側に回ったときに、「教えるのってこんなに難しいんだ!」と思いました。後輩から何か聞かれても自分の知識が足りないこともあるので、まだまだかもしれないですけど……。先輩になったことで、責任感が強くなったかなって思います。そこが変化したところです。

-女性アンサンブルのメンバーとして、チームワークを感じたエピソードがあれば教えてください

アンサンブルは、観客の前で「表情管理」をしなくちゃいけないんです。「表情管理」というのは、笑顔だったり、心に合わせて泣いたりとか、心の動きに合わせて表情を変化させていくんです。特に笑顔で踊る場面では、緊張していたら口角が上がらなくなり、管理が難しいです。

そんなときは、一緒に踊っているメンバーとアイコンタクトをして、みんなの表情とか頑張っている姿を見て、「自分も頑張ろう!」って思えます。舞台上でアイコンタクトができない場面でも、声が聞こえたり、みんな頑張って踊っているのが雰囲気で伝わってくるので、自分も緊張はしているけれど、「今できる全力で頑張ろう!」と思えます。アンサンブルのみんながいるから、そう思えるんです。

-舞台で緊張するときに、乗り越える方法はあるでしょうか?

自分は緊張することは、悪いことと思っていなくて、緊張しているときの方が「自分、全力でやってるな」って感じがするんですよ。緊張してないときよりも、緊張しているときの方が、「やばい!やらないと!」みたいな追い込んでいる感じがあって、一番全力を出している感じがします。

-アンサンブルのキャストとして、観客に届けたいもの、感じてほしいことなどを教えてください

舞台の臨場感を届けたいです。中高生が全力で頑張っている姿を、この気持ち、この空気感を伝えたいです。 自分が初めて「肝高の阿麻和利」を見たときには、小学生だったので内容はわからなかったのですが、演じている人の全力さとか、空気感に惹かれたので、お客さんにもその全力さと空気感が伝わってほしいなと思います。

キャストの全力を体感できる「肝高の阿麻和利」という舞台の魅力

-現代版組踊「肝高の阿麻和利」の魅力はどんなところでしょうか?

すべてを全力でできるのが魅力です。舞台に立っている瞬間は、緊張はしていても、恥ずかしい気持ちはあまりなくて、全力でやっているのが楽しいです。プロではないし、プロには勝てないけど、それでも全力で挑戦できるところが魅力だと思います。

東京公演に行ったときも、お客さんたちは阿麻和利のことを知らないのに、泣いている方もたくさんいたんです。「初めて見たけど、感動したよ」と声をかけてくれる人もいて、「阿麻和利のことを知らない人たちの心も動かせるんだ!」と思いました。拍手も鳴り止まなくて、感動をあげたはずなのに、逆にこっちが感動をもらって、メンバーみんなでウルっときてました。
とにかくみなさん褒めてくれるんですよ。ネットでも検索してみたんですが、「迫力がすごかった」とか「中高生とは思えない」とか、こんなふうに見られていると知れて、うれしかったです。

-「肝高の阿麻和利」がさらに発展するために、必要なことは何だと思いますか?

私達が演じる舞台には、もう一つ「百十~MOMOTO」という阿麻和利が亡くなった後のストーリーを描いた舞台があるんですが、その舞台は、OBとOGと一緒に出演しており、先輩方がしっかりと厳しく教えてくれるんです。あまわりの舞台で、自分たちが教える側になったら、やっぱりOBやOGの先輩に比べると、ちょっと緩くなってしまう部分があって、もう少し後輩に厳しく言っていけたら、もっともっといい舞台になるんじゃないかなと思います。

それから、今「肝高の阿麻和利」は、うるま市では知られてきていますが、もう少し知名度を上げて沖縄といえば「肝高の阿麻和利」ってなるぐらいの舞台にして、そこからまた全国、そして世界で活動できるぐらいの舞台になりたいなって思っています。
今はありがたいことに、県外からもお客さんが来てくれるので、「また来たい」と思ってもらえるように、これからも稽古に励んでいきたいと思います。

-「肝高の阿麻和利」の活動の中で、挑戦したいことを教えてください

自分は入るときに、女性アンサンブルか役者か迷ったので、いつかマイクをつける役者をやってみたいです。女性アンサンブルにも2人だけセリフがある役があるので、今はそこを目指して先輩から引き継いでもらえるように頑張っています。

-凛夏さんにとって「肝高の阿麻和利」とはどんな存在ですか?

「肝高の阿麻和利」は、自分の好きなことを全力でやれる居場所。これから先もずっと自慢ができるような大好きな自分の居場所です。そして、人前に立つ、舞台に立つ楽しさを教えてくれた場所です。

海と音楽が最高!大城さんが語る「うるま市の魅力」

-うるま市についてもお聞きします。凛夏さんがおすすめしたい、うるま市の魅力を教えてください

元々海が好きなので、うるま市といったら、「海中道路」のあたりの海だと思うんです。そこで毎年行われる、あやはしマラソンに小学生の頃から行っているので、あの景色がきれいだし、好きです。 うるま市は、自然が残っていたり文化がたくさんあるっていうのもあるんですが、沖縄の人って、音楽が大好きじゃないですか。エイサーや、うるま大好き音楽祭なんかは、元々地域のエイサーに出るのが好きだったので、わくわくします。

-「肝高の阿麻和利」に参加して、地元うるま市に対する印象は変わりましたか?

変わったと言うか、これが沖縄だなって確信できた感じでした。みんなで歌ったり踊ったりを楽しくできる場所が、沖縄うるま市だなって思って、なんか納得というか、確信できてうれしかったです。自分はウチナーンチュだって、改めて意識した気がしました。

-今後うるま市をどのような場所にしていきたいですか?

「肝高の阿麻和利」に入る前から、地域のイベントに参加してきたので、知らない人でもコミュニケーションを交わせるのが嬉しくて。挨拶したら返してくれるし、人と人が近いっていう印象がありました。今後は、今よりも挨拶や「ありがとう」が増える場所になってほしいなと思っています。でも、知らない人同士が挨拶できる空気感があるのって、沖縄だけかなと思ってて。県外に行ってみると、そんな習慣はないじゃないですか。だから、沖縄のうるま市のこの距離感で、挨拶や、「ありがとう」っていう当たり前のことだけど、今よりもたくさん飛び交うような場所になればいいなと思います。

-ずばり、うるま市の人たちを一言で表現すると?

本当に簡単になっちゃうんですけど、最高です!!
人と人もそうですし、自然、海とか、緑もたくさんあるし、エイサーとか、音楽が近いっていうのもあって、自分が好きなものが詰まっている場所だなって感じるので、もう言い方的には最高です!

-最後に、今後の夢や将来挑戦したいことを教えてください

はい。芸能関係の表舞台に出る人になりたいと思ってます。 「肝高の阿麻和利」の卒業生で俳優として活躍している佐久本宝先輩のドラマを見たら、凄いなって思って、自分も先輩と同じ場所に立ちたいし、先輩の背中を追ってみたいという気持ちがあります。

まだちゃんと決めているわけではないのですが、ドラマとかテレビの世界にも興味があります。もちろん自分自身、舞台に立っているので、舞台を見るのも好きですし、表舞台に立つ役者を目指して、自分が目指す道を、行けるところまで進んで行きたいです。

2023年11月28日(火)Interview

メンバーインタビュー一覧

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女性アンサンブル役
RINKA OOSHIRO
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きむたかバンドボーカル
AKINA ISHIKAWA
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主人公・阿麻和利役
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ヒロイン・百十踏揚役
05 CLICK
男性アンサンブル役