現代版組踊「肝高の阿麻和利」キャストインタビュー#04

憧れの百十踏揚役を演じて自分に自身が持てました

~百十踏揚役 高校3年生 田原 里桜(たはら りお)さん~

現代版組踊「肝高の阿麻和利」は、うるま市の中高生たちが演じる歴史劇(沖縄版ミュージカル)で、伝統と革新が融合した舞台作品です。沖縄の歴史と文化が息づくこの舞台は、10代の若者たちの情熱的なパフォーマンスによって生き生きと表現され、地域の歴史と文化の魅力を、沖縄県外・国外にまで広く伝える取組へと進化を続けています。

地元うるま市を盛り上げる「肝高の阿麻和利」の活動に参加しているキャストたちのインタビュー企画第4回目。今回お話を伺ったのは高校3年生の田原里桜(りお)さん。「肝高の阿麻和利」では、主人公の阿麻和利の妻の百十踏揚役を演じています。

「肝高の阿麻和利」の活動で感じた自分の成長

-「肝高の阿麻和利」に参加したきっかけを教えてください

姉と兄が参加していて、それで興味を持って入ったんですけど、一番の理由は、3歳くらいの頃から、今演じている百十踏揚という役にあこがれていて、百十踏揚になりたくて入りました。

かわいい役がやりたくて、女の子らしい目線とか指先の所作が得意だったので、百十踏揚役をやってみたいと思いました。

-「肝高の阿麻和利」に参加したことで、何か変化したことはありますか?

中学1年生のときに入ったのですが、最初はとても人見知りで演技することとか、人前に立つことが苦手で、自分に自信もなかったです。でも、自分がなりたかった百十踏揚という役になることができて、自分に自信を持つことができたり、今ではお客様の前で演技することがとても好きになりました。これが自分の中で一番変わったところだと思います。

-演じる上で難しかったことや、困難なことはありましたか?

所作が得意って言ったんですが、最初のうちは役にあった動きが全然できなかったです。セリフの言い方とか、自分のキャラ設定に合った感情にしていくんですが、その時に思ったのは、所作は鏡の前で自分の目で見ながら確認することができるんですけど、感情って鏡で見てもわからないじゃないですか。

「自分だったらこう思う」っていうのを一旦紙に書き出して、シーンごとに感情を作るのが難しかったです。 自分は政略結婚とかさせられたことないし、どういう気持ちで百十踏揚が嫁いだかっていうのが「嫌だな」くらいしかわからなくて。そういった感情を作るときに、紙に自分だったらこういう行動するだろうなっていうのを書いて、イメージしながら役に入り込む感じでした。

-演技に対してこだわってることを教えてください

所作だったり、目線の使い方で女役だからこそ出せる動きの良さだったり、やっぱり目線ってとても大切だけど、実はやってみたら意外と難しくて、そういったところを気をつけて演じるようにしてます。

所作は見てほしいんですけど、やっぱり役者さんだけを見るんじゃなくて、踊る側の人たちとか、バンドの人もひっくるめて全体を見て欲しいなって思います。特に最後の肝高の詩は集大成で全員でやって、そこが一番迫力があるので、見て欲しいなって思います。

-現代版組踊の魅力を教えてもらえますか?

私が思う現代版組踊の魅力は、自分たちが住んでいる地域の歴史や文化を、地域の人だったり、中高生が知るきっかけになったり、私たち演じる側も、この活動に誇りを持って自発的に発信しているところだと思います。

自分は学校の部活をやったことがないんですが、阿麻和利の活動が、憧れを持たせてくれるところだったり、夢に向かって全力で頑張れる居場所になっています。

-東京公演で体験したことや感想を教えてください

東京で見に来てくれるお客様にとって、方言とか沖縄の文化背景がわからない部分があるので、シーンを作り込むときに、セリフを言う速度とか、動きで表したりとかするのがとても難しかったです。でも、東京公演で練習していく中で、難しいセリフのときにどうやったら伝わるのかなとか、工夫して考えるきっかけになってよかったなって思いました。

お客さんも、「感動したよ」と言ってくれたり、シーンごとに拍手してくれて、とても嬉しかったです。拍手は鳴り止まなかったです。

自分たちの生まれた町を知るって大切~うるま市の魅力~

-うるま市の好きなところや魅力を教えてください

阿麻和利の活動に参加してるので、世界遺産に登録されてる勝連城跡は好きですし、エイサーや、闘牛などの伝統文化も豊富で、歴史とか文化や、美しい自然を身近に感じられるところが好きです。

- 「肝高の阿麻和利」に参加して、地元のうるま市に対する印象は変わりましたか?

自分たちが生まれた町を知ることって大切なんだなって、改めて実感しています。阿麻和利の活動に参加するまでは、歴史とか文化にあまり興味がなかったんですけど、歴史を知る機会があったり、闘牛とかエイサーとか沖縄の文化に触れる機会が増えて、うるま市っていいところだなって思いました。

お店とかが少ないので不便な面はあるんですけど、その分、自然を身近に感じられるかなと思います。

-今後、うるま市がどんな場所になってほしいと思いますか?

歴史とか文化を身近に感じることができる施設があったらいいなって思います。あまわりパークみたいな感じで、着付けの講座とか、歴史を体験できる施設があるといいのかなと思います。

-うるま市の人たちを一言で表すと?

自分が見た感じですが、個性的な人が多いなと思います。あまり地域の人と関わる機会が少ないんですけど、学校ではうるま市の人が多いので、面白い人が多いと思います。

-「肝高の阿麻和利」を通して地域にどんな貢献ができると思いますか?

公演をしたら、次の公演を見に来てくれるお客様がたくさんいるので、自分たちが感動を与えてそういうお客さんを増やしたら、地域の魅力の一つとして貢献できるんじゃないかなって思います。

公演が終わった後にお客様を見送るんですが、そのときに「よかったよ」とか、「感動したよ」とか、直接言ってくれるお客様がいて。その時に逆に感動をもらって、次の公演でもっと成長した自分を見て欲しいなと思って、それから次の公演に向かってまた練習を頑張っています。

卒業後も何かしら公演に関わりたい 里桜さんの挑戦したいこと

-今後、「肝高の阿麻和利」が発展していくためには何が必要でしょうか?

自分たちは阿麻和利の活動をしてるので、歴史について少しは知ってるんですけど、しっかりちゃんと知ってるかって聞かれると知らないことの方が多いので、演じる側が歴史について興味を持って勉強して発信することが大切だと思います。

高校で沖縄研究という授業をとって、沖縄の歴史について勉強していますが難しくて…….。ちょっと大変ではあるんですが知ることは楽しいです。

-今後、「肝高の阿麻和利」の中でチャレンジしたいことってありますか?

個人的には、今回の東京公演で、セリフの難しいところの伝え方を考えるきっかけになったのですが、実践するのが難しくて。でも、表情が苦手なので、次の公演では表情に力を入れて頑張りたいなって思ってます。

表情をもっと表現力を豊かにするには、 練習するしかないと思っていて、鏡の前でやったりしてます。自分も歌うシーンがあって、家でもお風呂場で歌ったりして練習しています。

-今後の夢、挑戦していきたいことは?

阿麻和利の活動で、後輩のヘアセットとかヘアメイクをする機会があって、この経験を活かして、美容の世界で働けたらなと思ってます。今、高校3年生なので、卒業したら美容系の専門学校に行くことになっています。

阿麻和利を卒業したら、OB・OGが公演のときに裏方に入って手伝いに来るっていうのがあるんですが、髪のセットとかしてみたいなと思ってます。卒業しても阿麻和利に関わりたいなって思って。何かしら関われたら、後輩の成長を見られるので、楽しみです。

2023年11月29日(水)Interview

メンバーインタビュー一覧

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女性アンサンブル役
RINKA OOSHIRO
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きむたかバンドボーカル
AKINA ISHIKAWA
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主人公・阿麻和利役
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ヒロイン・百十踏揚役
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男性アンサンブル役