現代版組踊「肝高の阿麻和利」キャストインタビュー#03

「一生懸命はカッコいい!」を舞台上で表現したい

~主人公 阿麻和利役 高校2年生 福永 勇飛也(ふくなが ゆひや)さん~

現代版組踊「肝高の阿麻和利」は、うるま市の中高生たちが演じる歴史劇(沖縄版ミュージカル)で、伝統と革新が融合した舞台作品です。沖縄の歴史と文化が息づくこの舞台は、10代の若者たちの情熱的なパフォーマンスによって生き生きと表現され、地域の歴史と文化の魅力を、沖縄県外・国外にまで広く伝える取組へと進化を続けています。

地元うるま市を盛り上げる「肝高の阿麻和利」の活動に参加しているキャストたちのインタビュー企画第3回目。今回お話を伺ったのは高校2年生の福永勇飛也(ゆひや)さん。「肝高の阿麻和利」では、主人公の阿麻和利役を演じています。

お客さんに楽しんでもらう工夫をしながら、一生懸命に演じる

-「肝高の阿麻和利」に参加したきっかけを教えてください

中学校1年生のときに友達に誘われて参加しました。ずっと阿麻和利をやってみたい気持ちがあって、自分の一代前の阿麻和利役の先輩に、「次の阿麻和利役をやらないか?」って声をかけられてすぐ、「やります!」って言いました。中学3年生のころから主人公の阿麻和利役をやっています。

-阿麻和利を演じる上で難しかったことはありますか?

役者として演技するのは、やっぱり今でも難しいですね。自分の演技が他からどうやって見られてるのかが、わからないじゃないですか。人によって見え方は違ってくると思うので、みんなから「良い」って思われる演技をするのは難しいです。

その難しさを乗り越えようと考えてはいるんですけど…….。自分がやっているのは、お客さんがちょっとびっくりすることっていうか、お客さんが見てて、「すごい!」って思うインパクトがあるものを入れるようにはしてますね。

-例えばどんなことを取り入れているのですか?

演技というか、棒術なんですが、棒を背中で交換するシーンがあるんですけど、自分からは見えない状態で棒交換するってなると、「おお!」ってなるじゃないですか。

あと、ジャンプするシーンがあるんですけど、高くジャンプして着地したら、「すごい!」ってなるんじゃないかなみたいな。誰が見ても「すごい!」って思うようなものは入れるようにしてます。

インパクトの有るシーンを取り入れるためにYouTubeとか昔の阿麻和利のDVDを見て参考にしています。エイサーとか沖縄の伝統的な映像をよく見ているんですが、その中でも勉強になるものがあって、「これ使えるかも」っていうものを見つけたら取り入れるようにしています。

-演技をする上で、こだわっていることはありますか?

お客さんが楽しめるようなものを作るのがまず第1です。お客さんがどんなものを見たら楽しめるかなっていうのを考えて演技を作っていきます。あと、自分が楽しみながら演技をしてたら、お客さんも楽しめるんじゃないかなと思って、笑顔でやるようにはしています。

「肝高の阿麻和利」の魅力は、中高生の舞台っていうことでプロではないので、その分みんな頑張っていて、本当にみんな一生懸命やってると思うので、その一生懸命さが感動につながるのかなって、自分は思っています。

-「肝高の阿麻和利」の活動を通して、一番感動したエピソードを教えてください。

東京公演のときは、お客さんの温かさがうれしくてとても感動しました。でもそれは東京公演に限らずで、自分たちの舞台で、お客さんを喜ばせることができるって思ったら、毎回感動してしまいます。

「一生懸命はカッコこいい!」ピンチだった東京公演で学んだこと

-2023年8月の東京公演で学んだことを教えてください

東京公演では、本当にピンチだったんですよ。東京公演のリハーサルが終わったとき、人生で初めてのどを壊したんです。声がガラガラになって潰れちゃって。そのときは、明日の本番になったら治ると思ったんですけど、朝起きてもそのまま声がカスカスのままで。

初日の1回目の公演は何とか無事終えることはできましたが本当に焦りました。その日の夜は、周りの人たちも心配してくれて、のどが乾燥しないように濡れマスクをバンドの先輩がくれたり、いろんな人からのど飴をもらったり、体調崩さないように栄養ドリンクを買ってきてくれる知り合いもいて。本当にそのときは、周りの人のありがたみを知りました。みんなに支えてもらって恵まれているなって感じることができました。

-二日目の公演はどうなったのですか?

翌日の公演でも、のどが完治していなくて焦りました。まず自分が最後まで阿麻和利役としてやりきれないかもしれないという気持ちになってきて。全部で4回公演だったんですけど、二日目の公演は、もうのどがもたないかもしれないという焦りがありました。でも時間は過ぎてしまって、本番の時間が来るわけじゃないですか。

そのときに思ったことなんですけど、よく現代版組踊で言う「一生懸命はカッコいい!」っていう言葉があるんですよ。本番前にその言葉を思い出して、もう自分がどんなに声がでなくても、いつもの実力が出せなくても、この「一生懸命はカッコいい!」という言葉を信じて本当に一生懸命頑張れば、感動を与えることはできるんじゃないかって思って、二日目の公演に挑みました。

その結果、大成功で終えることができて、最終公演ではスタンディングオベーションをもらって、「一生懸命はカッコいい!」を実現できたんじゃないかなって思いました。その言葉を信じるきっかけにもなりましたね。

生まれたときからずっと落ち着く場所~うるま市の魅力~

-勇飛也さんが考えるうるま市の好きなところ、魅力はどんなところですか?

うるま市の好きなところは、雰囲気ですね。ずっと平安名にいる感じなんで、やっぱり落ち着きます。もう生まれたときからずっと何の違和感もなしにずっと落ち着くなと思ってて。うるま市が大好きです。地元が大好き。

-勇飛也さんが一番おすすめしたいうるま市の場所はどこですか?

阿麻和利のメンバーともよく遊びに行くんですけど、カラオケに行って、焼肉に行きます。あと、海中道路に行って、みんなで座ってお喋りしてるみたいな感じですね。

平安名って何もないですよね。でも何もないのが好きっていうのもあって。一番好きな場所って言うと、正直な個人的な意見になっちゃうんですけど、おばあちゃんの家です(笑)

-今後うるま市は、どんな場所になってほしいですか?

良い意味で今のまま落ち着く感じが続いて、この落ち着く感じをいろんな人に知ってもらえたらいいと思います。阿麻和利に入る前から、うるま市は「いいところだな、大好きだな」って思っているので、あんまり都会っぽくなってほしくないです。落ち着かないので。

-うるま市の人たちを一言で表すと?

みんなニコニコしてる気がしますね。近所を歩いてても、知らないおじさんに挨拶したら返してくれたりする感じとか。歩いてるおじいちゃんおばあちゃんもみんなニコニコしている感じがします。

将来の夢と阿麻和利でやりたいこと

-勇飛也さんの今後の夢とか将来に向けて挑戦したいことを教えてください

ないんですよね…….。全然将来のことを考えてなくて。でも、何か人のためになれることはしたいですよね。どの仕事でもそうですけど、誰かのためになれると思うんで。誰かのためになる仕事に就けたらいいなって思います。

-今後「肝高の阿麻和利」がより発展するために必要なことって何だと思いますか?

多くの人に知ってもらうことだと思います。今のままでもとてもいい舞台だと思うので、それをもっともっといろんな人に知ってもらいたいです。

みんなに1回は見てほしいと思ってるんです。絶対に感動するので。もっと知ってもらうためには、イベントをやったり、阿麻和利のことをうるま市のYouTubeチャンネルでもたくさん取り上げてくれれば、公演を見るきっかけにもなると思いますし。 もっと宣伝をたくさんした方がいいと思います。

2023年11月28日(火)Interview

メンバーインタビュー一覧

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女性アンサンブル役
RINKA OOSHIRO
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きむたかバンドボーカル
AKINA ISHIKAWA
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主人公・阿麻和利役
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ヒロイン・百十踏揚役
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男性アンサンブル役