現代版組踊「肝高の阿麻和利」キャストインタビュー#02

心を込めた歌唱で、観客を笑顔にしたい

~きむたかバンド高音ボーカル 石川 陽菜(いしかわ あきな)さん~

現代版組踊「肝高の阿麻和利」は、うるま市の中高生たちが演じる歴史劇(沖縄版ミュージカル)で、伝統と革新が融合した舞台作品です。沖縄の歴史と文化が息づくこの舞台は、10代の若者たちの情熱的なパフォーマンスによって生き生きと表現され、地域の歴史と文化の魅力を、沖縄県外・国外にまで広く伝える取組へと進化を続けています。

地元うるま市を盛り上げる「肝高の阿麻和利」の活動に参加しているキャストたちのインタビュー企画第2回目。今回お話を伺った石川陽菜(あきな)さんは、沖縄県立与勝高等学校の2年生。「肝高の阿麻和利」では、きむたかバンドで高音ボーカルを担当しています。

「肝高の阿麻和利」のメンバーになって感じたこと

-「肝高の阿麻和利」に参加したきっかけを教えてください

中学3年の部活を引退して何もない寂しい時期に、何かした方がいいかなと思って軽い気持ちで応募しました。友達がきむたかバンドに入っていて、いつも「阿麻和利、阿麻和利」って熱弁してくるので、やってみようかなと思って。

子どもの頃から歌うことが好きだったので、よくカラオケには行ってました。最初、役者にしようか迷いましたが、友達が入っているきむたかバンドを見学しに行ったときに、ボーカルの先輩が、もう本当に素晴らしい歌声で惚れ惚れして、「ボーカルやりたい!高音ボーカルしたい!」って決めました。

-「肝高の阿麻和利」に参加して、自分の中で変化したことはありますか?

地元うるま市のポジティブな面が見えてきて、地元愛につながった感じがします。 今までは、「うるま市は田舎だし…….」みたいなイメージだったんですが、「こんないいところがあったんだ!」って見え方が変わったというか。

あと、観察力がついたと思います。今まで意識してなかったんですが、バスで席を譲ってる学生さんに気づいたりとか、人を観察するようになりました。舞台の稽古で演技をする中で、動作とか、その人の表情とか、そういった観察を日常生活から意識するように癖がついてきた感じです。バンドの演奏も目を合わさないで音を合わせるっていうのがあって、聴くこととか、目線とかも意識しながら、心も一緒に合わせて一音一音演奏するので、やっぱり周囲への観察力は大事だと思います。

-「肝高の阿麻和利」の活動中に、感動したエピソードを教えてください

中学3年で「肝高の阿麻和利」に入って、すぐに先輩の卒業公演に出させてもらったんですが、最後の肝高の詩を歌うときにすごく感動しました。先輩の卒業っていうのもあるし、みんなが卒業生を囲みながら涙をこらえて笑顔で踊って演奏して演じている場面が、もう一番の感動でした。

舞台で演じることの魅力

-演奏する中で難しかったことや、困難だったことはありますか?

今まで学校の合唱では、アルトパートって言って低い音程の方を演奏していたので、高音が出しづらくて。高い音を綺麗に出せないっていう技術面での不便さがありました。

それで、お風呂場で親から「うるさいよ」って言われてしまうぐらい毎日練習しました。もう日常生活でも学校の休み時間とかも鼻歌を歌ったりして。やっぱり、上達するためには、毎日のちょっとずつの積み重ねが大事だと思います。

-演奏をするときに、陽菜さんがこだわってることは?

ボーカルなので、歌詞をどれだけ心を込めて歌うか、伝えたいっていうか、耳でも感動してほしいっていうのがあります。歌詞をお客さんに伝えないといけないので、歌詞の意味やわからない単語が出てきたら調べてます。見ている人に、「肝高の阿麻和利」の舞台の勢いや、壮大さだったり、子どもたちのパワーだったりを伝えたいですね。

-現代版組踊「肝高の阿麻和利」の魅力を教えてください

現代版組踊は組踊と現代の複合なので、昔ながらの組踊とは違った魅力というか、やっぱり今の人たちでもわかりやすいように作っているので、文化を身近に感じることができるのではないかなって思ってます。阿麻和利のメンバーは、いきいきとしていて、返事もちゃんとするし、勢いがある若者っていう感じだし、明るくて楽しい雰囲気も魅力です。

-「肝高の阿麻和利」の東京公演に参加されて、どんなことを感じましたか?

私たちでも、お客さんを感動させられるんだと実感しました!東京公演へは不安もあったんですけど、演奏してちょっと失敗することがあっても、仲間がフォローしてくれて、最後にはスタンディングオベーションがあったりして、そこで、「こんなにお客さんを感動させることができるんだな」っていう実感が湧きましたね。

最後にお客さんを劇場からお見送りするときには、「めっちゃうまかったよ!」と言ってもらったし、Instagramでも「歌がうまい。マジでプロみたい。」みたいに書いてあったよって、友達が教えてくれたり、そんなふうに私の歌が聞こえているんだなっていう実感が沸きました。

-「肝高の阿麻和利」に参加前と後では地元うるま市に対する印象は変わりましたか?

「肝高の阿麻和利」は、勝連城跡が舞台なので、「勝連城跡で昔こういうことがあったんだな…….」と、昔のことを調べるようになりました。昔はこういう風景だったんだとか、昔の人はこんな生活をしてたんだとかを探るっていうか、もう想像っていうか妄想ですね。阿麻和利に参加する前は、今のことしか見ていなかったので、そこが変わりました。

歴史・文化・自然・人とのつながり うるま市の魅力

-うるま市の好きなところを教えてください

「肝高の阿麻和利」です!本当に稽古に行くのも楽しいし、メンバーに会うのも楽しいし。公演でお客さんを感動させることができて、涙を流してもらったり、楽しんでもらって笑顔にさせたりするのが嬉しいです。阿麻和利以外だと、景色、自然が魅力です。「空気が美味しい」って、うるま市に来た人みんな言うんですけど、住みやすい環境が魅力です。

それと、よくバスに乗るんですが、バスに乗りながらうるま市の街を見ることが好きです。自然も良い景色だし、音楽を聞きながら町の人の様子を見ています。バスの中で席をゆずる人がいたりして、人と人のつながりを見るのも好きです。

-今後、うるま市がどんな場所になってほしいですか?

自然を残してほしい。今、開発もされているけど、自然を残すというか、うるま市の魅力は、やっぱり自然や海だから。自然保護もしながら知名度が上がって、海外や本土からも来やすい場所として、沖縄といったら「海のうるま市」でしょ?というくらいな知名度になってほしいです。

「肝高の阿麻和利」のメンバーとしても、うるま市の知名度アップに貢献したいと思っています。沖縄全島では、まだまだ「肝高の阿麻和利」のことを知らない人も多いので、知名度を上げるために、もっとうるま市以外での公演を増やすべきだと思います。

-うるま市の人たちをひとことで表わすとしたら何でしょう?

漢字一文字で、和です。 平和 の和ですね。 この和っていう文字は、穏やかや和やかという意味も含まれています。あと、人の輪っていうのがあって、うるま市は、人と人が距離が近いので、人のつながりだったり、優しく接してくれてる場面とかを見て、平和で和やかで、人の輪がある町だなって思いました。

石川さんの今後のチャレンジと、将来の夢

-今後、陽菜さんの夢や挑戦していきたいことを教えてください

「肝高の阿麻和利」の最後のラストシーンで、高音ボーカルがラストフィナーレで盛り上がる場面があるんですけど、高音がまだきれいに出せていなくて。今年の卒業公演か、来年の自分自身の卒業公演までには、必ず出せるようにしたいなって思ってます。
あと、高校3年生になったら、役者を1公演でもいいので体験してみたいです。元々役者やりたいっていうのもあったんですけど、バンドピットから見る景色じゃなくて、舞台からの景色でお客さんを笑顔にさせることに、チャレンジしてみたいですね。

-陽菜さんの将来の何か夢を教えてください

将来の夢は、理学療法士です。理学療法士は、体が思うように動かせない人を、日常の生活ができるまでに動けるようにサポートする仕事です。高校1年生のときに、いろいろ探した結果、自分に合うものを見つけました。

患者さんは、やっぱり不安に思っていることがあるので、笑顔にしてあげたいです。「肝高の阿麻和利」の舞台を見てくれたお客さんたちのように、患者さんも笑顔にさせてあげたいです。

2023年11月28日(火)Interview

メンバーインタビュー一覧

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女性アンサンブル役
RINKA OOSHIRO
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きむたかバンドボーカル
AKINA ISHIKAWA
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主人公・阿麻和利役
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ヒロイン・百十踏揚役
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男性アンサンブル役